ボディメイクをはじめようと意気込んだとき、一体何からはじめるといいのかと考えることもあると思います。ヨガやピラティスもあればスポーツジムもあり食事法や生活習慣の改善まで含めるとアプローチは多種多様ですね。それら様々なアプローチのなかでもまずは柔軟とストレッチからはじめることをオススメします。では何故、柔軟とストレッチからはじめると良いのか。取り組む際にはどのように取り組むと、より効果的なのか考えてみましょう。
ストレッチについて
柔軟とストレッチについて、それぞれに違いはあるのでしょうか。実は柔軟運動はストレッチのひとつで正式には「バリスティックストレッチ」と呼ばれます。「柔軟体操」「柔軟運動」も同義で一般的にストレッチといえばこのイメージが強く、伸脚をして身体を倒し弾むように反復をする、動きながら反動を使うストレッチがバリスティックストレッチです。上級者になるとこのストレッチを使う局面はあまりなくなるのですが、「ラジオ体操」のような動きもこの一種であり、例えば朝起きて身体を起こす際に、体温を上げながら身体をほぐすことも出来るので、日常のシーンによって活用法もありそうです。
他にも主なストレッチとして、静的ストレッチと動的ストレッチがあります。静的ストレッチとは、ストレッチをする際に息を吐きながらゆっくりとストレッチをしていく方法で、筋繊維を柔らかくしたり、関節可動域を広げることを狙います。勢いよくストレッチ部を伸ばそうとすると意識とは関係なく脊髄反射で筋肉が収縮し固まろうとする作用があるので(これを伸張反射という)この反応が起きないように、ゆっくりと息を吐きながらじわじわストレッチ部を伸ばしていくことが大切です。
動的ストレッチは、自分が動かせる可動域のなかで、関節を制御しながらぐるぐると動かすような運動をいいます。人間は関節を動かす生き物なので、極端な言い方をすれば、反動や勢いを使わない自分でコントロールする動きはすべて動的ストレッチともいえます。朝起きて身体が固くなっていても、モーニングルーティンをこなしているうちに身体が柔らかくなることは誰しも体験したことがあるものと思いますが、これも動的ストレッチが掛かっているともいえます。動かしながら筋肉と関節をほぐしているのです。柔軟運動(バリスティック)と静的ストレッチ、動的ストレッチは、ボディメイクにおいて度々登場するので、ぜひここで一度覚えてみましょう。
ストレッチ、運動、食事法の順がベスト
ボディメイクをする際には、どの順番で取り組むかその手順がとても重要です。強靭な精神力があるのなら何からはじめても美しいボディに辿り着くことが出来ますが、例えば「食事法」からボディメイクをはじめたとき、満腹感と空腹感のコントロールや甘味を食べたい気持ちのコントロールをしようと、感情への影響がとても大きく出ます。端的に表現すると、食事制限からはじめるとめっちゃお菓子食べたくなります。人間は「糖」を主なエネルギーとして生命を維持しているので、体内の糖が減ると急激にホルモンが働き、出来るだけ手早く糖を得ようとします。女性であれば「減量をしようとすると以前にも増してお菓子が食べたくなる」という経験一度はあるのではないでしょうか。実は、この作用も「運動」と「食事法」を同時にスタートすることでとても抑えられる効果があり、運動によって身体に不要な物質が体外に排出されると、舌の感覚が鋭敏になったり、頭が冴え渡ってきたりすることで、結果的にカロリーダウンした食生活を「美味しい」「丁度良い」と感じるようになります。ですので「食事法よりも運動が先」にはじめておくと精神的にとてもラクで続けていきやすくなります。
そして「運動」をはじめようとしたとき、最初に運動からはじめると、筋肉が動く習慣がないままに全身の筋肉に負荷を掛けるため、「息苦しさ」「筋肉疲労」「関節の気持ち悪さ」が同時に訪れるため、苦しく感じます。そこでストレッチを最初にある程度のレベルまで習慣化しておくと、筋肉と関節をスムーズに動かすことが出来るため、まずストレッチからはじめておけば、怪我予防の観点からも最善手と言って良いでしょう。ボディメイクを続けるなら、「ストレッチからはじめて運動と食事法を少しずつ習慣化していく」この手順を強くオススメします。理由は様々ありますが、一番のポイントは「精神的にラク」だからです。
ストレッチをすると痩せやすくなる
まず静的ストレッチからはじめてみましょう。慣れてくれば動的ストレッチも併用すると更に効果は高まりますが、最初のオススメは静的ストレッチです。静的ストレッチはGoogle等で検索すればいくつも出てきます。一通り色々とやってみてフィーリングが合うものを取り入れていけばOKです。そして、それが習慣になってきた頃に、例えば「肩や首の疲れ」「腰の動かしにくさ」など体感としての改善点があれば、そこから新たなストレッチに挑戦し、自分のバリエーションを広げていくと、日常の気持ちよさとともにストレッチのバリエーションを習得することが出来ます。
静的ストレッチも動的ストレッチも、実際にやってみると普段意識をしない身体の隅々の関節や筋肉まで、意識をすることが出来ます。背中や脇腹の筋肉、股関節の動きの滑らかさ、足の裏で体重のバランスを支えている感覚を私たちは普段どれだけ意識出来ているでしょうか。実はこの「意識が行き届く」という感覚がボディメイクにおいて非常に重要で人体600以上の筋肉のうち、私たちは大人になるにつれて、得意な筋肉ばかりを主に使うようになっていきます。すると、動きのなかで本来活用されるべき筋肉がうまく働かず、動かし慣れた別の筋肉が動くため(筋代償という)、身体が歪んできたり、関節が炎症したり、そして日常で勝手に使われるエネルギー(総代謝)が小さくなります。つまり、私たちは自分の身体全身に意識が行き届き、筋肉や関節の動きをイメージ出来るようになるだけで、日常生活がそのまま勝手に正確な動きのトレーニングとなり、基礎代謝と活動代謝があがり、「消費カロリーが増える」のです。全く、プラスアルファの運動をしなくとも意識できるだけで、です。これをインターナルフォーカストレーニングといい、動きのなかで自分の身体の動きを正確にイメージすると、その活動が活発化することが科学的に報告されています。
ぜひ、お手元で実験してみて下さい。あなたの上腕二頭筋(腕のちからこぶ)を、まずは何も意識せずに腕を曲げてちからを入れてちからこぶを作ろうとしてみて下さい。どうでしょうか、感覚を覚えていてくださいね。次にちからを抜いて腕を一旦伸ばして、ちからこぶの筋肉(上腕二頭筋)が肩の付け根から肘の内側に渡ってついていることを確認して、肘側の筋肉から肩側の筋肉に向けて上腕二頭筋が縮んでいくイメージをしがらギュッとちからこぶを握ってみて下さい。先程よりもずっとちからが入るのが分かると思います。本当にちからが入り過ぎるので、初回は軽めにして下さい。これがインターナルフォーカスのちからで、ストレッチを通じて無意識に身体各部に意識が行き届くことで活動は活発化されます。
これはストレッチのトレーニングしての一面ですが、静的ストレッチは本来、身体の可動域を広くして、全身を快適に動かしやすく、より姿勢良い位置に骨格を調整する効果があります。一通り実践してみて、気持ちの良いことを体感しながらも、苦手だと感じる動きがあれば時間を掛けてゆっくりと練習してみましょう。人それぞれ骨格や筋肉量が違うので、すべての動きを滑らかに出来ればあなたに最適だというわけでもなく、すべての関節は骨盤と背骨を中心に繋がって影響し合っているので、(足首が固いとき、本当は股関節の可動に原因がある等)ゆっくりと調整しながらあなたにとっての最快適を模索することが大切です。特に、骨格のボディメイクを他人軸で行うと怪我をしやすくもなるので、重ねて、時間を掛けてあなたにとっての最適を探すように考えましょう。
静的ストレッチの効果的な方法
静的ストレッチをする際には、息を吐きながらゆっくりとストレッチ部に体重を乗せていきます。時間にして20秒から40秒ほどが良く、45秒を超えると伸ばされ過ぎて筋損傷のリスクが高まるという研究結果もあるので、最初は20秒を目安に可動域の最大幅までゆっくりと伸ばしていきます。このとき、体温が37.0℃(軽く汗ばむ程度)まで高いほど筋温度も高く、柔軟性と可動域が向上します。反対に身体や関節が冷えている状態で静的ストレッチをするのは辞めておきましょう。伸ばされる際に筋肉や腱(筋肉の端の部分)が痛み、炎症することがあります。寒いなと思ったら少し着込んで(手首と足首も忘れずに)軽く屈伸をしたり、肩をぐるぐると回すと温かくなってきます。また、就寝前などは体温を上げすぎると睡眠の質が落ちるので、体温調整はほんの少し温かい程度にしておくと良さそうです。
※WEB限定項
ヨガインストラクターmiwako様のページに私が普段活用する静的ストレッチのほとんどが掲載されているページを発見しました。素晴らしいページですのでぜひご紹介させていただきます。自分ですべて撮影するのが大変だからです。ご推察下さいませ。ヨガインストラクター:miwako様解説の静的ストレッチ一覧⇒https://dews365.com/archives/164397.html
ストレッチ姿勢を取ろうとすると、最初は動きに意識が集中しがち(エクスターナルフォーカス)でそれではストレッチの意識とは方向性が違っています。ストレッチで重要なのは、正確な意識で⇒正確なフォームで⇒正確な呼吸で⇒無理なく出来るところまで伸ばすことです。意識とフォームと呼吸どれがズレていて、無理にそのポーズに届いたとしてもあまり効果を発揮しません。分かりやすく解説します。
例えば、静的ストレッチの代表として立った状態から腰を屈曲させて地面に手を着く動作の「前屈」があります。多くの人はこの「前屈のポーズ」を目標に地面に手を付けようとしますがそれではなかなか届きません。前屈とは下半身から腰までの背面側(裏側)の筋繊維を伸ばす運動なのです。ですので、足先から順を追って筋肉や筋膜を伸ばしていきましょう。まずは足の指を背屈(上向き)に手や壁を使って20秒を2セットほどじわじわと伸ばして下さい。次に足の指を掴んだり壁を使ったりして足裏をじわじわと伸ばしていきます。次に立ちあがりアキレス腱(ふくらはぎ)をゆっくりと伸ばし、体重を前に掛けて膝の裏を伸ばします。そしてそのまま上体を前に倒してももの裏側を伸ばします(出来ない人は一旦座ってやるとGOOD)そして次に、お尻を後ろに引きながら上向きに突き上げるように、お尻を回転させて臀部を伸ばします。このとき鼠径部や足の付根にちからが入りやすいので出来るだけ脱力しましょう。そして上体を少しずつ脱力して、腰と背中の間が重力で自然と伸ばされていくことを確認しながら、ゆっくりと両手を地面に向けて下さい。どうでしょうか?足の指から、足裏、ふくらはぎ、膝裏、もも裏、お尻、背中とそれぞれ順に伸ばしていくことで、これまで地面に手がつかなかった人も、今この瞬間はじめて着く方もいらっしゃると思います。重ねてお伝えしますが、ポーズを完成させることが目的でなく、あくまで筋肉と関節を伸ばす(柔軟性と可動域)ためにしていることなので、地面に手が着かなくても全く問題ありません。毎日繰り返すうちに筋繊維は柔らかくなるので、それが本懐です。
※注意点として、静的ストレッチを限界可動域まで行うと、筋肉と関節が過度に伸びた状態となり、ちからが入りにくくなり運動能力が低下します。怪我予防の観点からも外出前やトレーニング前には軽めの静的ストレッチか動的ストレッチにしましょう。この静的ストレッチによる運動能力の低下は20分程で元のレベルに戻るので、そのあたり考慮できれば気にし過ぎる必要もないかもしれません。
動的ストレッチのポイント
静的ストレッチと動的ストレッチに慣れてくると、その丁度中間にある柔軟(バリスティックストレッチ)はあまり活躍することもないかもしれません。ぜひ、動的ストレッチも習得していきましょう。動的ストレッチでは関節の可動域を最大まで広げる必要はなく、自分がコントロールできる範囲で身体を動かし、筋肉を動かし慣れさせることが目的です。色々な動きをするほど色々な筋肉が使われ効果的です。代表としては股関節の回旋や肩甲骨のダイナミックストレッチでしょう。
朝のモーニングルーティンにも使えますし、お仕事中にもこの動的ストレッチを活用して下さい。人間は同じ体勢を取り続けることが身体にとって大きな負担になります。例えば、オフィスワークの方や座ったままの状態が長い方は20分に一度たった20秒でも、腰や肩甲骨、首を動的ストレッチすると、体の負担は格段に減ります。また、座り仕事では、骨盤が後傾してしまいがちなので、立っているときのように頭の重さを背骨に乗せて、骨盤で受けることが出来ません。常に首と背中上部で頭の重さを支えていますので、肩と首の筋肉が緊張状態(収縮)したまま、固まります。(筋肉が柔らかいと揺れるたび何度も支える必要があるので、固まっているほど筋肉はラク)この作用により、肩と首の筋肉が固くなりますが、その状態では血管が圧迫されて血液がうまく循環できないので、肩と首がだるく、痛くなります。コレが肩こりです。この現象も首をまっすぐに骨盤に乗せられると根本にアプローチできますが、20分に一度首の静的ストレッチをしても、体感として楽になるので、肩こりに困っている方はご活用下さい。
動的ストレッチにあまり型はありません。スポーツ選手でも独特の動きをしている方もいますし、人それぞれ快適さとフィーリングが最重要です。ぜひ、色々な動きを試してみましょう。
ストレッチのよくある疑問
ストレッチは一日何回すればいいの?
ストレッチは回数よりも頻度です。一回あたり30秒以上掛けてもあまり効果はありませんし、何回やれば効果があるというものでもありません。あくまで、筋肉が「緩むこと」が活動の目的であり、一日のなかで頻繁にしているほど、柔らかい状態に身体が慣れてきます。この身体を慣れさせながらフィーリングで調整するというのが、ストレッチにおいても、トレーニングにおいても、食事法においても重要になるので、フィーリングを大切にして下さい。目安として、少なくとも毎日1回は出来るといいですね。
フォームローラーって効果はあるの?
フォームローラーは1分間のフォームローリングで疲労回復や10度以上の可動域の向上したとの研究結果もあり、大変有効なものでオススメです。また、フォームローリングのメカニズムは、ローラーの圧力により体内の水分や血液が押し出され、水分と血液が一気に戻る際に、身体を内部から押し広げることで効果を発揮しているので、過度に痛くなるほど押し当てる必要はく、気持ちの良い範囲で充分効果を発揮すると考えています。
身体が固くてストレッチが難しいです
関節の可動域や、骨がどうハマっているかは人それぞれ違っていて、先天的な要素もあるので、固くても大丈夫です。あくまで筋肉を伸ばす活動なので、伸びていればOKとしましょう。私自信も手首を上向きにストレッチしても90度程度が限界ですが、先天的に腕に着くまで手首が曲がる人もいます。個人差があって普通で、出来なくても大丈夫です。
まとめ
ボディメイクはストレッチからはじめる
ストレッチには、柔軟、静的ストレッチ、動的ストレッチがある
ストレッチをすると日常の総代謝アップ
ライフスタイルに合わせてストレッチを活用しよう
意識とフォームと呼吸すべてがストレッチをつくる
ストレッチは自分の快適さを優先しよう