ボディメイクをはじめるとき、「◎◎を食べるといい」「◎◎の運動がいい」等様々な意見が飛び交っています。中には全く反対のことを主張する人たちもいて、例えば寝る前の炭水化物は太るか?太らないか?等色々な主義主張があります。実際のところ、世の主張はAという人もいればBという人もいて、ひとつ主張があれば、必ずと言っていいほどその反対を主張している人がいるもの。本で読んでも、論文を検索しても、セミナーを受講しても自分が見聞きしたメソッドと反対の意見が世界のどこかで有効だと言われ信じられ成果を上げているものです。どちらが正しく、どちらが正義かを追求しているとあっという間に一日が過ぎてしまうので、正しい理論の追求よりも「あなたのフィーリング」を優先すると、最終的に自分の体格にあったアプローチに近そうです。
カラダは人それぞれだからアプローチもそれぞれ
人それぞれ身体が違えば適切なアプローチが違っていて、何が合っていて何が合っていないかもまたそれぞれ違うものです。ボディメイクの場合は特にその理解の必要性が大きく、途中で辞めたくなる理由のほとんどは「キツくて嫌な気持ちになる」「取り組もうとすると面倒に感じる」などでしょう。取り組みのなかで「ツラさ」が大きくなってくると、今度はそれをいざはじめようとしたとき脳がその感情を思い出して、取り組んでもいないのに過去に取り組んだ際の「嫌な気持ち」を呼び起こし、結果的に「はじめようとすると嫌な気分になる」という状況になります。多くの人はこれらを超えて、取り組んでいる人たちが成果を出していると思われがちですが、実際には少し違っています。
例えば、「10kgのお米の袋を持ち上げて下さい」と、よいしょと10kgのお米を持ち上げるとぐっと負荷が掛かります。「それを10回繰り返して」と言われると多くの人が嫌な気持ちになりますが、これが「10gのボールペン」ならどうでしょうか。おそらく嫌な気持ちにならないはずです。明日もやろうとすれば実行出来るでしょう。適切なアプローチはこの間にあって、キツ過ぎると負荷が大き過ぎて適切でない可能性があります。しかしながら全く簡単過ぎてもカラダは変化しません。実際には、「ちょっと大変さもなくもないが、明日も同じように実行できる」あたりが初期の頃の感覚の落し所で、この見極めが続けたくなるボディメイクと続けたくないボディメイクを分けています。ボディメイクは健康度の向上を含んでいるので、適切であれば身体の快適さや日常の快適さも向上するため、「続けたくなるものであれば適正」と考えることも出来ます。
後に詳しく解説していきますが、この段階では「◎◎がいい」という人はいるが実際には人それぞれで、自分自身に合ったやり方を気持ちも含めて探していくのがボディメイクなのだとニュアンスを掴んで下さい。美とは辛く苦しいものを耐え抜いた先にあるのでなく、より快適を求めた先にあるものです。
自分の身体を知ろう
ここで自分の身体について知っていきましょう。孫子の言葉に「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という言葉がありますが、ボディメイクに限らず何かを成そうとしたときには、「彼=成そうとする目的」とともに、まずは己をより深く知ることで、道が開けて来るものです。これは人生のあらゆる局面において応用できる考え方なので覚えておくのも良いかもしれません。その際にはものごとに対して知るべき自分の領域で「都合が悪い」「隠したい」「見られたくない」という領域が大きいほど窮屈で行動が二の足三の足を踏みやすくなるので、自分を開示しても大丈夫だと思える領域が広いほど、可能性に対しては有利にはたらきます。
話をもとに戻して、自分の身体を知っていきましょう。身長、体重、体脂肪率は基本ですが他にも細かく診ていきましょう。まずは骨格からチェックしましょう。首の位置は正しくまっすぐな位置(ストレートネック)に来ているでしょうか、前に出ていないか。これは首のストレートネックチェック法などがあり、壁に背を付けて自然と立ったとき、後頭部が壁に接地するか?などでもチェックすることが出来ますが、鏡で自分の首を横から見て、自然と脱力したときに良い位置に来ているか見ると分かります。
このように身体の各部を診ていきます。
- 首の位置は正しい位置にあるか?前に出ていないか?
- 肩関節は正しい位置にあるか?内巻きになっていないか?肩はあがっていないか?左右差はないか?
- 背中(背骨)のアーチは自然か?湾曲が強くなっている部位はないか?
- 股関節は正しい向きにあるか?骨盤前傾でないか?骨盤後傾でないか?
- 膝の向きは自然と正面にあるか?内側や外側に傾いていないか?
- 首から肩にかけての筋肉(僧帽筋)に左右差はないか?
- 腕の太さに左右差はないか?握力は左右同程度か?
- 腕は自然と上まで両手ともあげられるか?
- 肩甲骨は左右どちらも自然に寄せられるか?
- 上半身を左右回転させたときに左右どちらも自然と回るか?左右差やひっかかりはないか?
- 腹部に張りはないか?上部や下部など張り感は偏っていないか?
- 足の太さに左右差はないか?
いかがでしょうか?普段は全体の流れや印象を見ているものですが、ボディメイクの際にはこのように部位ごとに細かく見ていくと良いので、ここで少し慣れていきましょう。大切なのは状態を見ることが出来る目を養うことで、いますべての部位が正しい位置とバランスにある必要はありません。些細なことでバランスは変わり、例えばオフィスワークなど座ったままの状態で仕事をしている人は身体が前傾している時間が長く、腹筋が背筋よりも強くなる傾向にあります。逆に、保育士や看護師など人や重い物を日常的に持ち上げる人は、背筋が発達しやすい傾向にあります。すると、筋力バランスにともなって、骨盤が前傾気味、後傾気味になったりするので、一部のバランスが全体のバランスに影響しています。重ねて、正しい位置にあることよりも、自分の身体についてよく知っていくことが最初の頃は大切です。
ボディメイクは内から外に考える
人生の成功の秘訣としてよく「インサイド・アウト」内から外へ影響の輪を広げていくというものが定番としてありますが、ボディメイクにおいてもこの「内から外へ」の考え方は重要です。例えば、ダイエット食品やスキンケア商品など、1ヶ月以内にもしくは当日に、効果が表れるものは人はよく取り組みがちですが、すぐに効果が表れるというのは、言い換えればより表面側(外側)にアプローチをしようとしていると言えます。そのものは悪いことでなく、例えばメイクをするなど日常のマナーとしての側面もあり重要なことではありますが、ボディメイクにおいては、美の基盤は「健康」にあるので、より深部でより長期的なことほど重要です。それは先を見れば明らかで、例えば身体の内側(血液や内蔵)からより健康度を高めた上でその結果、身体の骨や筋肉、そして皮下脂肪や肌状態を向上したときと、肌にスキンケア商品でアプローチをした場合とで、5年、10年後、そしてその先の美はどちらが高いかと考えたとき、答えは明白です。つまり、ボディメイクは高度な健康であるといえ、美もまた高度な健康であると言えます。
前置きが長くなりましたが、ボディメイクはより内側から考えることが重要です。血管(血液)→内蔵→骨→筋肉→脂肪→肌や髪と考え進めていきます。もしも生化学に詳しい人がいるなら、「おいおい、内からというなら細胞やミトコンドリアから考えるべきでは?」とおっしゃる方がいるかもしれません。全くその通りだと思いますが細胞の健康度は判断が難しいので、ここでの最小単位は血管(血液)とするのが落し所かもしれません。血管というと物々しい表現かもしれませんが、血管の疾患の有無や健康診断などで測定する血液の健康度がどうか?で見ると良いです。例えば血中コレステロール値が高いなどの症状が特になければ、ここは次に考え進め、もし先のコレステロール値などの偏りがあれば、普段の食事法(栄養)の観点や、普段の生活習慣(運動)の観点において、アプローチを調整するように考えるという活用をします。この項も現在、理想形であるよりも、自分の現状に対してどうアプローチするか考える習慣を持つことが主眼なので、自分の身体をより内側から知っていきましょう。
筆者である私自身も、ずっとオフィスワークで座り時間が長く、身体は前傾し、骨盤が後傾することで、胃が上下から圧迫されることにより、慢性的に胃が弱く、アトピーがなかなか好転しない症状がありましたが、背骨の湾曲を整えて胃への圧迫がなくなってくると自然とアトピーの症状は出なくなったという経緯もあります。これが肌にステロイドを塗布することで外から内にアプローチを続けていれば、おそらく根本的な改善には至らなかったと感じています。内から外への重要性を私自身体感しており、本筋からは外れた話ですがご参考のひとつになれば幸いです。
まとめ
ボディメイクとは自分に合ったアプローチを見出す道そのもの
骨格が人それぞれなのでアプローチも人それぞれ
自分の身体を自分で診ることができる目を養おう
大切なのは現在どこまで優れているかでなく現状をふまえ対策を考えること