早く走ることが出来ることを機能として捉えると、日常生活において活かされるシーンは少ないものですが、早く走ることが出来る身体は、そうでない状態と比べて一線を画して引き締まった美しさがあるものです。前回の初級者向けランニング法では、20分間正しいフォームで走れるようになることを目指しましたが、ここでは20分間の速度を追求します。

機能を追い求めると美は一線を画す

有酸素運動での痩身のゴールは体脂肪が20%〜25%ほどに落ちついた状態です。20%以下の体脂肪においては健康状態がかえって悪くなりがちなので、美と健康のバランスを考えたとき、一旦23%前後を体脂肪のゴールとします。しかしながらその状態になってみたとき、また体脂肪23%前後の、芸能人やアイドルの身体を写真などで見ると、完全に引き締まってはおらず、お腹や下半身に少し柔らかな質感が残っています。ここからさらに、ボディラインを絞ろうとするとき、更に体脂肪を下げるか、身体能力を高めるかの道がありますが、美と健康を両立するなら身体能力を高める方が圧倒的に健康に良いものです。何故なら身体能力を高めるためには、健康的な食生活、アルコール摂取を圧倒的に少なくし、適切な睡眠が成される必要があり、その過程で内臓が若返り、体内年齢10代を実現することが出来るからで、今後の健康で快活な人生の充実を考えると、高い身体能力と若々しい内臓状態のキープをオススメします。体脂肪がある程度落ちた局面からは、美の追求は身体能力の追求へと変化していきます。

インターバルトレーニングで速度をあげる

前回、インターバルトレーニングで心拍数管理をするというアプローチをお伝えしました。1ヶ月〜2ヶ月と期間を経ていけば、自然と筋力や身体能力も付いてきます。すると、以前は「キツイ」と感じていたランニングの速度がだんだんと軽く感じるようになります。そのため、一定以上の心拍数を目指し、運動強度を保つと自然とペースはあがっていきますが、速度を目標にすることでその成長スピードは更に高まります。ここでは、一旦の目標速度を時速16km〜時速20kmとして心掛けるポイントを解説します。

まずは基礎体力づくり

何事もまずは基礎の習得からはじまります。ここでの基礎とは、基礎体力づくりのことです。次の数値を目標に身体づくりを推進しましょう。最初は少しずつゆっくりとしたフォームで3回3セット程度からはじめて、運動後には軽い食事やバナナなどを食べるようにしてみましょう。続けるうちに自然と回数は伸びていくので続けてさえいれば必ず届きます、焦らず気楽に推進し、痛みや違和感があった際には、自分自身の感覚を優先してしっかりと休むことを心掛けましょう。また、股関節の柔軟性が硬い状態だと足をあげた局面で動きが鈍くなるので、股関節の柔軟とストレッチも並行して行いましょう。

自重スクワット30回×3セット出来る

レッグレイズ 25回×3セット出来る

連続小ジャンプ50回×3セットできる

プランク 3分出来る

腕立て伏せ(膝つきOK)10回×3セット出来る

股関節の柔軟とストレッチを習慣化する

高く飛べるほど早く走れる

まずはランニングマシンにおいて、1分間の高強度ランニングと、2分間の緩やかなランニングをして、1分間に自分が時速何キロで走れるか確認してみましょう。最初のころは心臓が苦しくなってくることもあったと思いますが、ある程度慣れてくると心臓の血液循環機能よりも、足の筋力の方が先に付いて来なくなり、筋力と筋持久力の問題になってきます。息苦しいというのは、運動初期特有の悩みでもあると言えます。

現在の速度よりも早く走ろうとしたとき、以前も解説したとおり早く走ろうとちからが入ると逆効果で、結果的にスピードは遅くなります。ではどう心掛ければ良いかと言えば、身体を前傾させてより高く飛び、より早く足を回転させることです。シンプルに言えば、キック力とフォームの追求です。まずはキック力について考えてみましょう。

充分な準備運動をして、身体を温めてから無理のない範囲で怪我をしないように安全を確認して集中して行いましょう。まずは「片足ジャンプトレーニング」です。左右の足をそれぞれ2回ずつジャンプし、「右、右、左、左、右、右〜」といった具合に切り替えていきます。このとき出来るだけ素早く蹴っていない方の膝を地面と水平の高さまであげてより長くキープし、2回のジャンプののちに反対の膝をあげます。出来るだけ長く膝をあげた時間をキープしたいので、素早くあげて、ギリギリまで残します。これを20チェンジほど繰り返してみましょう。最初の頃は3チェンジほどでも膝が下がって来ますが、レッグレイズトレーニングで下がらないように練習します。20チェンジ×3セット出来るようになる頃には、着足の安定感や地面の反力を足に乗せる感覚が掴めてくるはずです。また、更に慣れてきたら、2回ずつのチェンジでなく、3回ずつのチェンジにしてみましょう。このときも、「頭頂部」「鼻」「胸部中央」が一直線でブレないことが大切です。

これも完遂出来るようになったら、以前の「小ジャンプトレーニング」に1kg~3kg程度の小さなダンベルを持った状態で同じようにジャンプトレーニングをします。ウェイトを用いた状態では、また10回×3セットからはじめ直しましょう。同じ項に書き並べているので、文章上のテンポははやいのですが、「片足ジャンプトレーニング2回」を完遂するまでも2週間〜1ヶ月程度掛けて、様子を見ながらゆっくりと推進して下さい。アキレス腱の弾性、足裏の筋力やアーチ、神経伝達を作っているので、刺激を与えて休むことを繰り返す必要があります。怪我の防止の観点からもゆっくりであるほど良いでしょう。

ランニングのロスを無くす

ランニングの速度をあげるために大切なのは、フォームに次いでロスを無くすことです。以前もお伝えした、頭頂部や上半身のブレがその一例で、横方向の振り戻しのちからを支えるほどに、着足の際にブレーキがかかります。このイメージを分かりやすいくするために、まっすぐ一直線に走る人と、一歩ずつ左右に大きく横飛びをしながら進む人とでは、一歩の着足の時間が横飛の幅に応じて長くなるのがイメージできると思います。これが前に進む運動に対してブレーキであり、ロスとなっています。ロスを無くすためには、ゆっくりとしたスピードから練習し、ロスのないフォームを整えながらスピードをあげていく必要があります。

ロス無く走るためのポイントを列挙します。

・「頭頂部」「鼻」「胸部中央」を一直線にキープする

・肩があがらないように、適度に脱力して下げたままにする

・腕は90度で軽く固定し、一直線に振り上げて振り下げる。手や肘が外に逃げないよう気を付ける。

・上半身は前後左右のブレなきよう、疲れたとき上半身が倒れないように気を付ける

・足の回転が直線になるよう心掛ける

・着足、膝の高さ、足の動きに左右差がないよう均等を心掛ける

・これらを意識せずとも脱力して自然に出来ように鏡等を活用しながら走る

腕で足をリードする

ランニングの際には腕と足の動きは連動して動きます。そのため、実は腕振りのスピードが足を回転させるためにとても重要です。何故なら、足よりも腕の方が短くて軽いのでより早く動かすことが出来ます。ですので、意識して腕を早く強く振ることによって足の回転を連動させてリードすることができます。よりスピードが早くなるほどその感覚は顕著で、足が身体を前に進めるのでなく腕が足を引っ張っていく感覚であるほうがより効率的です。また、地面との摩擦やブレーキングのニュアンスを出来る限り小さくするためには、重心をより高くして地面と足裏との接地時間を短くするほど有利にはたらきます。この身体を高い位置にキープするのは足でなく、腕を振り上げるちからとそのタイミングです。腕の回転を早くするためには肘を伸ばした状態でなく折りたたみ、肘を前後により高くあげる必要があるのですが、その際に、素早く肘を振り上げるタイプの人と素早く肘を振り下げるタイプの人とでは、トップ選手でも賛否あり好みが分かれるものなので、あなたの感覚で実践してみてやりやすい方を試してみると良いでしょう。

まとめ

機能を追い求めることで美は一線を画す

インターバルトレーニングで速度をあげる

早く走るための体力を付けよう

運動後すぐに食事を取り身体能力を向上させる

高く飛べるほど早く走りやすくなる

正確なフォームでロスを減らす

腕振りで足をリードする

無理をせず焦らずゆっくりと推進する