ボディメイクをはじめるとき、多くの女性が「ダイエット」からはじめます。もちろん身軽さは、柔軟やストレッチにおいても重要なので、ある程度は考えたいものですが、日本人は過剰に体重を気にし過ぎるあまりにかえって健康度が落ちてしまうこともあります。美と健康における体重と体脂肪との適切な距離感はどのあたりなのか、ここでゆっくりと探ってみましょう。

体重が軽いといいと思うのはなぜか?

体重は軽いほどいい。その流れは日本の芸能界の風潮から来ているものかもしれません。女優やアイドルを紹介するなかで「ウェスト◎◎cm体重◎◎kg!!」「痩せていてすごい!」「ダイエット頑張っているんだ」と痩せていることが称賛される傾向があります。また、同様にヨーロッパのモデル業界では普通の人が着られないほど、とにかく細く!という風潮が昔からあり、美の象徴であるモデルは過度なダイエットに勤しんできました。その影響を日本も受けていることでしょう。しかしながらそれらのモデルとしての現役期間は短く、10代〜20代前半が主とされるのも、反対の意図を見れば年齢を重ねるにつれて、肌や体の回復が追いつかず、肌荒れに悩んだり体調を崩し拒食や過食を繰り返し、現役を引退する人たちも華々しいステージの裏には多くいます。実際に筆者である私自身も、モデルの仕事をしていましたが、20代のかなり多くのモデルが体調不良や肌荒れに悩んでいました。ヨーロッパにおける極端な減量信仰も現在では風向きが変わってきています。

また、「悪条件なのに頑張っている!」というストーリーはしばしば見ている人に感動を与え、「痩せている」ことが褒められても「体格に恵まれている」「身体能力が高い」など体力や才能ある人が努力する様は日本の芸能界の風潮としてこれまでウケにくかったこともあるでしょう。細い努力家というのは人の目を気にしがちな私たちにとってどこか心象が良いのです。

よくよく考えてみると、本当に体重が重要なのでしょうか。大切なのはボディラインであり見た目の美しさであり、ウェストの数値や体重の数値が大小だからといって、実際のスタイルを上回る重要性はありません。とはいえ、数値としてボディラインに関係するのも事実、ではどう見ればもっとも自分を輝かせる数値との付き合い方ができるのでしょうか。より深く考えてみましょう。

数値との付き合い方は体重よりも体脂肪率

私たちの体は、脳や内臓などの器官によって生命活動が維持され、それを守るように骨が形成されて、また活動のための四肢の骨があります。そして骨のまわりに筋肉や血管があり、更にそれらを保護するために皮下脂肪や肌や体毛があります。私たちの生命活動としてより重要なのはより深部にある内臓からはじまり表層に向かいます。ぜひこのイメージを一度ゆっくりと感じてください。

一般的なダイエットというのは「体重を減らすこと」=「減量」を意図しているので、もちろん皮下脂肪も減りますが、同時に骨や筋肉や血管もより小さく細くなります。人間にとって骨と筋肉の量が減ることは内臓の活動を低下させて健康寿命を短くするので、健康度が落ちることで、ストレスに弱くなったり肌荒れしやすかったりします。更に人間の皮下脂肪は環境変化に対して生命活動を維持しようと「体を守ってくれるよう働く」ので、骨や筋肉の量が落ちると、一生懸命にエネルギーを蓄えようとして食べ物が脂肪に変わる割合が大きくなり太りやすい体質に向かいます。

話を美に戻すと、私たちが美しいプロポーションを手に入れたいと思うとき、減量したいのは皮下脂量のみであって、骨と筋肉はできるだけ落とさない努力が必要です。つまり重要なのは、体重よりも圧倒的に「体脂肪率」なのです。そのことを考えると、食事制限や糖質制限だけで体重を落とそうとすると、骨と筋肉も一緒に流れ出ていく(人体は内臓の回復を一番に優先するため、栄養が足りないとき、骨や筋肉を分解して血中に流し対応する)ので、不健康な方向に向かっています。せっかく努力をしているのに、体重とともに健康度を落としてしまっては、もったいない話です。美はいまこの瞬間だけのものでなく、10年後、20年後も美しくありたいのだから。

美人の体重は本当に軽いのか?

体重よりもスタイルを重視して美しい人たちをみたとき、彼女たちが本当に軽いのか?実際の体重はどの程度なのか考えてみましょう。日本の芸能人の体重事情は調べるほどに情報が交錯してしまうため、一旦話を外したほうが良さそうです。数値に信頼性が高そうなフィットネスモデルたちを見ると、身長や骨格にもよりますが、身長160~165cm前後で55kg前後、身長165cm~170cm60kg前後の人が多いようです。実際に自分が体重何キロが美しさとしてベストなのかは、理想のボディラインや元々持っている骨格にもよっても前後するのでここで一概に言及はしませんが、日本の風潮にある体重40kg代がどこか美の象徴のような流れに対して、一方で体重55kg〜60kgの美しいモデルのプロポーションを見ると、少なくとも体重は軽いほど良いというわけではないということがわかります。

またボディメイクの特性上、メリハリボディを目指す際には、ハリ(高いほう)を先に作る必要があり、メリ(減り=細い方)は後半でアプローチします。逆はとても難しく減量中は栄養が足りないことはあれど余ることはないので、身体の回復にほぼ消費することとなり、細くしたい部分をいかに細く出来るかだけに終始することになります。ハリが理想のボディにある場合は、少なくとも慌ててダイエットをはじめる必要はないかもしれません。

※WEB限定項

参考になる投稿を発見したので感覚の調整にご活用下さい。

左65kg、中央55kg、右63kg時での写真だそうです。理想のボディは人それぞれですが少なくとも美は体重でなくボディラインが重要であることが分かります。

体脂肪もある程度カラダには必要

ダイエットにおいて悪役になりがちな体脂肪ですが、カラダにとってはある程度の量必要です。もともと人間が動物として暮らしていた頃は定期的に食料があるわけでなく、飢えないよう余分に食べた栄養を脂肪として蓄え、有事にはこの脂肪をエネルギーとして活用することで生命を維持してきました。現代においては食事は定期的に取ることが出来るのでこの仕組あって日常的にオーバーカロリー状態にあると段々と脂肪が蓄積されていきますが本来の意図では必要な機能なのです。また、女性ではある程度の脂肪が子宮の保温性を高め、月経や出産時に貢献しています。(※体脂肪率が15%以下になると生理や出産において厳しくなるのは有名な話)ですので、美においては悪役に回りがちですが、カラダにとっての必要性は充分にあるので、ある程度、体脂肪にも感謝しながら付き合っていきたいものです。

体脂肪が多くなると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が活発になり、反対に男性ホルモンであるテストステロンの分泌が少なくなります。反対に体脂肪が少なくなると、男性ホルモンであるテストステロンの分泌が活発になり、反対に女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が低下します。テストステロンのの分泌が高くなると、活発で活動的になり、行動をすることに対して前向きな気持ちになりますが、同時に神経質になりピリピリしやすくなります。エストロゲンの分泌が高くなると、安心や安全、愛情に対して敏感になり、行動量を小さくして危険を回避しようとしますが、同時に少しのんびりになります。

あまりに蓄えた脂肪は身体にとって血中コレステロール値や内臓脂肪を増加させることで健康度を下げるので多すぎても良いものではありませんが、少なすぎるよりはずっと良いものです。体脂肪が少なすぎると男性で5%以下女性で15%以下になると、身体機能や生命活動に影響があるので、過度な減量や過度や食事制限は避けましょう。ボディメイクにおいて脂肪を減らす局面は当然ありますが、この項では行き過ぎない客観性を守ることを強く念押しさせて下さい。美はあくまで健康度の上昇とともにあるべきで、美の追求とともに私達の人生もより豊かにより快適になるよう意図していきましょう。敢えて付言するのは、熱くなり過ぎる人も少なくないからです。

まとめ

世論や風潮よりも自分の美しさを優先しよう

大事なのは数値よりもボディライン

美人はそれほど軽くない

体脂肪もある程度身体には必要