ボディメイクにおいて重要な炭水化物つまり糖質とタンパク質も、実は多種多様に種類があってはたらきが少しずつ違っています。これらの違いを知ることで自分の生活スタイルや摂取のタイミングごとに適切な糖質とタンパク質を選べるようになると、さらに細かなボディコントロールが出来るようになります。

炭水化物とは

炭水化物は糖と食物繊維の両方を総称しています。なかでも糖質は筋肉や肝臓にグリコーゲンの形で蓄えられてカラダを動かすときのエネルギー源になったり、血糖として脳や神経のエネルギーになったりします。つまり、人が活動をするためのパワーとなる栄養素です。食物繊維も炭水化物のひとつですが食物繊維は消化酵素によって、分解されずエネルギーをほとんど取り出されないまま体外に排出されるので、腸など消化器官の掃除をしたり、体内の毒素を排出する役割を持っています。

炭水化物の多くは分子式が CmH2nOn で表され、Cm(H2O)n と表すと、炭素(C)に水(H2O)が結合した物質のように見えるため、炭素と水の化合物で「炭水化物」と呼ばれました。豆知識として覚えておくのも楽しいですね。

炭水化物の種類と分類

炭水化物は、脂質、タンパク質とともに3大栄養素のひとつで、脳や体を動かすといった主にエネルギー源として利用される大切な栄養素です。体内の消化酵素で消化できる「糖質」と、消化しにくい「食物繊維」に分けられます。

糖質は体内に吸収されてエネルギー源になり、脳、神経組織など、ブドウ糖をエネルギー源として利用する組織に供給されます。エネルギーとして消費されなかった糖質は中性脂肪として蓄積されます。

また、エネルギーになりにくいアスパルテームやアセスルファムKなどの人工甘味料や、キシリトールやソルビトールといった糖アルコールも「糖質」に含まれます。人工的に生成された糖でインスリン反応がないため、カロリー0として機能するものの、甘味は砂糖の200倍ほどあり、舌を鈍化させることから、他の食材に対する味付けが濃くなる傾向があることや、摂取して分解されるとフェニルアラニン成分が(神経伝達物質)脳内でドーパミン、ノルアドレナリンに合成され、多幸感をもたらすことから高甘味度甘味料に慣れてしまうことでまた高甘味度甘味料が欲しくなるサイクルになりやすい懸念があります。多少であれば問題ないものの不用意な摂取は避けたい糖分です。単糖、二糖、小糖、多糖までは摂取しても問題はなく、糖アルコール類は取り過ぎに注意、高感度甘味料は避けたほうが良いと知っておきましょう。食物繊維に関しては、糖類ほどの健康被害を気にする必要はないものの、野菜や果物に自然と含まれている食物繊維であるセルロースに対して、人工的に精製されるポリデキストロース、難消化性デキストリンは、可能であれば摂取しない方が安全かもしれません。更に細かな話になりますが、オクラに含まれるペクチンや寒天に含まれるアガロースは水溶性食物繊維であるため、水溶性食物繊維全般を避けるべきという意図でなく、あくまで人工的なプロセスで精製されたものに対する懸念の意です。ですが、摂取したとしても健康を害するといった報告もあまり聞かないので一応といったフィーリングです。

糖質の種類

炭水化物糖質糖類単糖類ブドウ糖、果糖、ガラクトース
二糖類砂糖、麦芽糖、乳糖
小糖類単糖が2~10個程度結合した糖質、オリゴ糖
多糖類デキストリン、でん粉、グリコーゲン
糖アルコール類キシリトール、マルチトール
高甘味度甘味料アセスルファムカリウム、スクラロース
食物繊維水溶性食物繊維ポリデキストロース、難消化性デキストリンなど
不溶性食物繊維セルロース

糖質はカラダの中にどれくらいあるの?

糖質は脂質と異なり、筋肉内部に約300g、肝臓に約100gと体内に少量(約400g)しか蓄積することができません。そのため、日常生活の中で定期的に摂取して補充をすることが必要です。例えば、体重50kg体脂肪率25%の人では脂質12.5kgあることとなり糖質の蓄積量が小さいことがイメージ出来ます。

グリコーゲン貯蔵量を高めることで体タンパク質の分解が抑えられる

グリコーゲンの貯蔵量が、骨や筋肉に含まれるタンパク質の分解に影響を与えます。タンパク質の結合と分解は私たちの身体のなかで自然と行われる代謝サイクルではあるのですが、ボディメイクを意としたときには、タンパク質の分解は代謝を下げることになるので、出来る限り小さくしたい挙動です。体内グリコーゲンが多いと体タンパク質分解の指標である汗中の尿素窒素排泄量が少なくなることが分かっています。つまり、グリコーゲンは体タンパク質の分解を抑えますので、エネルギー源として利用されるタンパク質を節約するためには糖質をしっかりと摂取する必要があります。

エネルギー生産とビタミンB群

ビタミンB群は、糖質、脂質、タンパク質からのエネルギー代謝過程に欠かせない補酵素として作用します。運動時、筋肉を動かす原動力になるのは、ATP(アデノシン3リン酸)というエネルギー源物質です。糖質や脂質を分解し、ATP生成を続けるために、ビタミンB群をバランス良く摂取することが非常に重要な意味を持ちます。また、下図からも分かるとおり、身体のエネルギーが生産されて使われるためには、タンパク質であれ、脂質であれ糖質が必要であることが分かります。ですので、ダイエットや減量など体脂肪を落とす局面においても、一定以上の糖質を取らなければ脂質が消費されにくいことが分かります。タンパク質は独自のルートでエネルギーに変換されますが、この作用に頼ると骨や筋肉の分解も促進されるため、やはり糖質の摂取がエネルギーの基本であることが分かります。

エネルギー生産とビタミンB群

カラダを構成するタンパク質

タンパク質は炭水化物・脂質とともに3大栄養素と呼ばれるエネルギー源のひとつです。1gで約4kcalのエネルギーを生み出しますが、エネルギー源としてよりも組織や筋肉、酵素、ホルモンの材料として優先的に使われます。タンパク質は20種類のアミノ酸で構成されており、体内で合成できない必須アミノ酸(9種)と、体内で合成できる非必須アミノ酸(11種)に分けられます。人の体は約10万種類のタンパク質から構成されていますが、これらはアミノ酸の種類や配列によって違いが生じます。タンパク質は消化管を通過する間にさまざまな消化酵素の働きで最小単位のアミノ酸に分解され、肝臓に送られます。肝臓でいろいろな成分に加工されると、動脈を通って必要な場所に配られていきます。利用されて不要になった老廃物は、今度は静脈を通って肝臓へ戻され胆汁へ排泄されます。その老廃物の一部は再び吸収されて肝臓で再利用されます。血液とともに全身に運ばれたアミノ酸は筋肉、内臓、皮膚、髪の毛、骨などを構成します。またセロトニンなどのホルモンや、消化吸収、代謝をサポートする酵素、更には免疫力を支える抗体など、生命の維持に欠かせない様々な機能においてタンパク質は重要な役割を担っています。

タンパク質摂取のポイント

タンパク質を構成しているアミノ酸のうち、必須アミノ酸(9種)は必ず食物から補給しなければならず、全種類をバランスよく摂取することが理想的です。
食品から摂るタンパク質には植物性と動物性があります。動物性タンパク質は肉類、魚介類、卵、乳製品などに含まれています。動物性タンパク質の方が必須アミノ酸(9種)すべて含むことが多く、体内で活用されやすいメリットもありますが一方で脂肪も多く含まれがちです。植物性タンパク質は米、小麦、大豆、種類によっては野菜や果物にも含まれており、必須アミノ酸のすべてを兼ねない食品が多くタンパク質の反応は緩やかですが低脂肪であるメリットもあります。どちらかに偏らないよう、バランスよく毎食欠かさず摂り入れるのがおすすめです。


そして、タンパク質の代謝を手助けするのが「ビタミン」と「ミネラル」。マグロやカツオなどの赤身魚や牛レバー、鶏ささみはビタミンB6が多く含まれており、タンパク質とビタミンB6を効率よく摂取できる食品といえます。皮膚や骨などに関わりの深いコラーゲンというタンパク質の合成にはビタミンCが不可欠です。このようにタンパク質の代謝を意識すると、ビタミンやミネラルが多く良く含まれた食品を同時に取ることも大切です。

プロテインとは?(その種類)

プロテインとはタンパク質を英語にしたものです。一般的には、タンパク質を主成分とするプロテインサプリメントのことを指す場合が多いです。プロテインといっても様々なものがあります。ホエイプロテイン、カゼインプロテインは牛乳から抽出したもので代表的なプロテインです。その他にもソイプロテイン、ビーフプロテイン、ヘンププロテイン、ライスプロテインなど何から抽出するかによって種類は多岐に渡ります。似たものとして「EAA」があり、こちらは必須アミノ酸9種を配合したものです。プロテインはタンパク質として吸収され体内でアミノ酸に分解されて活用されますが、EAAはアミノ酸として摂取するために吸収の効率がとても高く、トレーニング前やトレーニング中のワークアウトドリンクとして使われます。

プロテインによるタンパク質摂取は人工的なプロセスによって作られているため、若干の健康的な懸念があり(明らかにNGではないものの、人工的だから完全に自然食とは言えない・・・程度)、トレーニングを行う人たちのなかでも、完全に自然食でタンパク質を取る方と、プロテインと自然食の混合でタンパク質を取る方と賛否あります。このあたりは数度摂取したからと大きく変化するものでもないので、ご自身で試してみてフィーリングを見て考えるのが良さそうです。プロテインの健康的な懸念は、完全なオーガニックとは言えなというものであり、そもそも普段の食事をフルオーガニックにすることは、とても難易度が高いために理論的には懸念もあるが微量であり、自然食でタンパク質が取れるならそれに越したことはないから、生活スタイルやフィーリングとの塩梅でチョイスされているニュアンスを知っておきましょう。急いで必要ということはないので、まずは自然食、そして必要性を感じたときに検討すると良いかも知れません。

タンパク質の必要量

タンパク質はできるだけ多くの量を摂取したほうがよいのかと言えばそうでなく、適量であることが大切です。
体タンパク質合成に利用されるタンパク質の上限は1日に体重×2g〜4gと言われています。一般的な生活であれば体重kg×2gで、50kgの方であれば100gです。アスリートレベルの方で4体重×4g程度で、あまりに過剰に摂取しても効果が高まるわけでもありません。また、肝臓・腎臓の負担が大きくなったり、過剰タンパク質とともに、ビタミンやミネラルも排出されることもあることから、やはり適量の摂取が大切です。

タンパク質は糖質との同時摂取がオススメ

タンパク質は糖質と同時に摂取すると血糖値が上昇するためにインスリンが分泌され、アミノ酸合成が促進されます。インスリンは同化作用のあるホルモンであり、同化作用とは分解されたエネルギーもとに、筋肉や内臓など組織を構築するはたらきのことです。このインスリンの作用によって炭水化物、タンパク質、脂肪の代謝が調節されます。そのため、インスリンの分泌を促す炭水化物をタンパク質と同時に摂取することが大切です。自然界においては、タンパク質と炭水化物は同時に摂取されるため問題ないのですが、プロテイン摂取においては種類によりタンパク質のみの摂取となっているケースもよくあるために、タンパク質と炭水化物は同時に摂取する必要があることを覚えておきましょう。また、炭水化物の糖質を保持することは、骨や筋肉の分解を抑制するはたらきもあるために、重ねてタンパク質と炭水化物を同時に摂取する意義があります。

まとめ

炭水化物は糖質と食物繊維

糖質にも種類があり、それぞれのはたらきがある

糖質は貯蔵量が少ないため定期的に摂取する必要がある

タンパク質と脂質がはたらく際にも糖質が必要

ビタミンとミネラルが3大栄養素のはたらきを繋いでいる

タンパク質はアミノ酸の組み合わせで構成されている

必須アミノ酸すべてを満たすため様々な食品からタンパク質を摂取しよう