CHAPTER 06 個人で他社を圧倒するためのシステムデザイン思考

 

マイクロビジネスの成功者たちが、成功者たる所以は何によって定義されているのだろうか。出版していることだろうか?ベストセラー作家であることだろうか?いいね!が何百もあることだろうか?はたまたブログの読者が数多くいることだろうか?あなたが「凄い!」と思う彼らの実績は、多くの場合、彼らの活動の中のごく一部でしかない。

ブログの読者が数多くいれば、高い収入が得られるのか?いいね!がたくさんある人達が高い収入を得ているのか?答えは「NO」だ。ブログの読者の数は活動のごく一面でしかない。出版は活動のごく一面でしかない。人気さえも、収入を得るためのひとつのファクター(要因)に過ぎない。

つまり、あなたのビジネスが高い収入をもたらすには、保有するメディアやすべての活動のシステムがオーケストラのように美しく奏で、最終的な収益を生み出すように旋律を指揮することだ。

 

システム全体が機能してビジネスが成立する

ブログを書く活動にどれだけ長い時間を注ぎ込んでも、それが直接収益を生むことはない。だがあなたのビジネスの見込み客とブログの読者の性質が同じであるならば、あなたが書くブログのファンが、あなたの製品やサービスに繋がる可能性はある。だが逆に、ファンの性質が遠ければ、どれだけ読者を集めても、どれだけいいね!を集めても売上には繋がらないだろう。

メルマガやLINE@などで、パーソナルな関係を築いたり、有用な情報を送ることに労力が必要だが、売上を生むことはない。だが、そのファンたちがあなたのブログやFacebookなどの別のメディアを見た際の心情には影響する。より深く、より肯定的にあなたのブログの記事を読めば、あなたの意図はより深く伝わるだろう。

一見利益のないセミナーや講座。無料のWEBコンテンツが、あなたの信頼性を高めたり、あなたの認知を広めるきっかけになったり、それがまた別のメディアと連動し、最終的にあなたの製品やサービスに繋がる可能性もある。

あなたのビジネスは、あなたのメディアと活動の総体としてのシステム機能の賜であり、ごく一部だけ育てていても意味がないのだ。すべてのシステムが上手に繋がりあって、はじめて大きな力になる。そしてそのちからは、メディア同士で効率化され、ファンを増幅し、個人で企業に匹敵しうるほどの影響力を持つことも出来る。メディア単体で考えるのではなく、すべてのメディアと活動の流れを連携することで大きなちからになるのだ。

ひとつのプロジェクトに囚われすぎず、あらゆる活動やあらゆるメディアで優秀であることは、これからの時代のマイクロビジネスを成功に導くために、求められる器量なのだ。

 

あなたのビジネスとは、あなたの保有するシステムの総体

 

ビジネスやコンテンツの旬

取り扱うビジネスによっては、一年を通して旬の期間があるだろう。お正月、バレンタイン、ゴールデンウィークなど、シーンズンごとのイベントとリンクさせて考えよう。シーズンイベントとあなたの保有するビジネスとを比べた時に、相性の良い月もあれば、メイン商品の売上が立ちにくい時期などは、少し思考転換した方が良い時期もあるはずだ。この考え方をあなたのビジネス全体に適用しよう。あなたの保有するフロントメディアから、商品、サービスまでのすべてのシステムを一年を通じて考えること。1ヶ月ごとに売上をあげ、それを12回繰り返すのではなく、一年間の総売上が最大化すればそれでいいのだ。

2月はチョコレートが売れるかもしれないし、恋愛のコンテンツやギフトが売れやすいとかもいしれない。あなたのビジネスに対するシーズンごとの相性がある。だから12ヶ月で売上を均一化させるのは難しいし、考え方としてナンセンスかもしれない。月収で収入を考えるのは、給料が固定されていた非雇用時代まででいい。いざ、経営者になったなら、売上は12ヶ月で考えよう。売上が特別にある月もあれば、次のイベントの準備に専念して売上が激減する月があっても一向に構わない。大切なのは、12ヶ月で次の決算までに年間売上を最大化することなのだ。

 

12ヶ月で売上を最大化させる

 

アイディアは無料で公開していい

僕がはじめてインターネットに触れたのは、小学生のころ。その頃は大した活用法もなく、フリーのゲームをダウンロードしたりするくらいなものだった。あれから、Googleが登場し、YouTube、WordPress、iTunesなど様々なWEBプラットホームが立ち並んでからは状況が一変した。あらゆる情報、学びが無限のようにアップロードされ、成功法則や最新のビジネスメソッドなど。あらゆる有料級の情報が今では無料でいくらでも手に入る。

現在は情報を手に入れる能力よりも、溢れる情報のなかから自分に必要な情報を選別することに才が置かれているほどだ。そしてその流れはこれからも加速するだろう。つまり、「情報」そのものへの価値は希薄化していく。少し前までは高額なセミナーもあったものだが、YouTubeやライブ配信がそれを兼ねはじめている。この流れを上手に活用するなら、情報を商品やサービスにすることにある程度見切りをつけても良いのかもしれない。その代わり、その実践であったり、経験や体験をサービスにするのだ。

その一例を紹介する。例えば、あなたのビジネスでこれまで「有料」で提供してきたメソッドや教材。ここまで公開しても大丈夫だろうかと不安になるほど、あなたのビジネスの全容を公開したら、どれほどの人の役に立てるだろうか。それこそが広告に変わる、最大のフロントメディアとして機能する。

実際にWEBコンテンツとしてまずお役に立てるように、価値を含んだフロントメディアを構築すること。例えば、ダイエットを商材としているのなら、そのメソッドをすべて撮影してYouTubeにアップロードし、WordPressで美しくまとめ、TwitterやFacebookなどのSNSから、YouTube広告、Facebook広告で拡散してしても良いかもしれない。そうして広まった情報と、製作元であるあなたの会社への信頼性で、実際にメソッドを実践する際のサポートを、コーチング商品として提供することもできる。これからは、持っている情報は公開し、人々の役に立ち、その実践で収益化するモデル。というアイディアをここでシェアする。

 

無料で圧倒的なフロントメディアを構築し、実践段階で収益化する

 

顧客に合わせて価値を考える

顧客に提供する商品、サービス、コンテンツにはそれぞれに深さがあり、顧客のライフステージによって、提供するべきコンテンツの深さは違う。ちょっとダイエットに興味がある人に向けて、アスリートのようなトレーニングを勧めても噛み合わないように、求められる価値の深さは、顧客ファーストでこちらが手出しする領域ではない。

あなたのビジネスにおいては、コンテンツの浅いものから深いものや、無料のものから高額コンテンツまで、幅広く展開し、顧客のライフステージに合った価値を提供していく柔軟性があれば、顧客はなめらかにあなたのビジネスへ参加することが出来る。ここでは、階層の浅いコンテンツから深いコンテンツまでの階層の例を紹介する。

 

1.情報、アイディア、インスピレーション

最も浅く広い、顧客接点の手前(フロント)にあるコンテンツがここにあたる。SNSでの情報発信やHPでの情報提供、YouTubeでの動画解説チャンネル、ポッドキャストでの音声教育、PDF資料の配布、役に立つ記事などがここに当たる。概ね、このフロントコンテンツボリュームがあなた独自のマーケットの最大母数、興味関心の最大顧客幅になる。

 

2.部分的な解決要素

1の情報を受けとった人たちが、まず手に取るコンテンツである。当然、1のコンテンツのなかから受け取る人と、受け取らない人がいるので、1から2のように下層に行くごとに、受け手は少なくなり、洗練されていく。少額のコンテンツ。書籍やDVD、グッズ(例.健康器具、酵素ドリンク、美容液、体験コース)顧客の悩みに対して、ごく部分的にアプローチし、解決に導くためのもの。ライフステージを向上させるには至らないものの、あなたのビジネスへの効果と信頼を確信するには充分であるもの。

 

3.メインコンテンツ、コーチング、講師

エスティックであれば通常の施術、コーチであれば1Dayセッション、フィットネスであればジムの開設やパーソナルセッション、アクセサリー販売や物販等であればメインとなる商品提供、またアクセサリー作りそのものを教えても良い。あなたが通常運転で提供するべき価値か、あなたのコンテンツそのものを教えたり、顧客の問題解決をコーチングしたりする。1,2,までは効果効能は、クライアント側の采配に委ねられていたが、3からは効果の一部をビジネス側である程度担保し、成功や実利実益へ導く。

 

4.継続コンテンツ、伴走、コンサルティング、講師育成

これは、3のメインコンテンツに加えて、顧客とあなたとで連携して成果を出す。エステティックであれば、継続的なエステティックサービスに加えて普段の食事をコーチしたり、アクセサリー作りにおいてはアクセサリーショップの開業をサポートする。あなたのコンテンツにコーチングやコンサルティング要素を付加して、より高位な価値の提供をする。4からは、顧客の収入やライフステージにも関わるので、人生ごと向上させる意味も持つ。

 

5.ソリューション

いわゆる「ソリューション」のこと。既存の企業に対してシステムや教育を導入したり、HP作成やランディングページ作成を代行することや、クライアントに代わってコンテンツの作成を代行したりもする。組織を保有しているなら、クライアントの企業に変わってブランディングやマーケティングをチームで代行したり、プロデュースしたりもする。もっとも高位であり、あなたが労力を代行することで、クライアントは時間も労力もほとんど掛けずに成果や恩恵を受けられるため、価値はもっとも高い。

 

あらゆるビジネス、あらゆる業界でこの5階層が適応出来るだろう。先にも話したが、顧客に適正な階層を決めるのは、顧客であり我々ではない。だからこそこの階層ごとのコンテンツラインナップを予め準備しておき、顧客のライフステージやニーズに合ったカタチで、あなたのビジネスの価値を提供していこう。

 

商品、コンテンツラインナップを階層化する

 

<この章のまとめ>

  • あなたのビジネスとは、あなたの保有するシステムの総体
  • 12ヶ月で売上を最大化させる
  • 無料で圧倒的なフロントメディアを構築し、実践段階で収益化する
  • 商品、コンテンツラインナップを階層化する