姿勢は見た目の印象やボディラインだけでないく、内臓の働きやメンタルにも影響を与えています。今回は背骨と体の不調の関係とメカニズムについてお話しします。

背骨の歪みが引き起こす不調

肩こりや腰痛、ひざの痛みは、猫背などで頭の重心がずれることでその重みが肩や腰、膝にかかり引き起こされます。一方、背骨がゆがむと、内臓や神経が圧迫され、目のトラブルや不眠、物忘れ、頻尿なども招いてしまいます。

背骨の重要な役割

背骨は、7個の頸椎、12個の胸椎、5個の腰椎に、仙骨、尾骨で構成されています。この一つ一つの骨(椎骨)が重なって絶妙なS字を描き、上半身の重みを分散するからこそ、歩いたり体をひねったり、自由に動くことが出来ます。さらに、背骨の中心には脊髄が通っていて、そこから椎骨の隙間を通って末梢神経が全身に伸びています。熱い、冷たいといった感覚を瞬時に感じられるのも、内臓がしっかり働くのも、背骨が神経を守り、手足やさまざまな臓器に神経をつなげているから。他にも、胸椎にある造血細胞が新鮮な血液を作り出すなど、背骨は私たちの命を支える重要な役割を果たしています。

姿勢を正すだけで脳の血中酸素がアップ

背骨は体の広範囲と結びついているため、不調の多くは、背骨の状態に起因しています。背骨のゆがみは、加齢や運動不足による筋肉の衰えなどで進行します。例えば猫背になると頭の重心が前に傾き、頭の重さが直接首や肩、ひざ、腰に負荷をかけ痛みを招きます。さらに肺や心臓が圧迫されて呼吸が浅くなるので、酸素も十分に運ばれなくなります。結果、脳の活動量が落ち、気分の落ち込みにもつながるのです。

内臓を守りつつ正しい位置にキープ

背骨は神経を保護し全身につなぐ上半身の重みを支える、ひねる、曲げるなど体を自由に動かす役割も果たしています。また、新鮮な血を作り全身の細胞を活性化します。背骨の適正なS字カーブを保っていると、頭の重さが背骨でうまく分散され、腰やひざなどの関節も内臓も、健やかに機能します。一方、背骨が曲がっていたり、S字カーブを失うと背骨がゆがみ、頭の重心が前後にずれると、足腰に余計な負荷がかかり、痛みの原因に。神経が圧迫されることで、内臓の働きが悪化します。

背骨がゆがむことで自律神経にもトラブルが

背骨のゆがみは自律神経のバランスの崩れを招き、不眠や震え、頻尿を引き起こします。多くの方が悩む疲れ目やドライアイも、自律神経の乱れで目の調整機能が弱って起こることも多いです。

感覚神経や運動神経の働きに関わるのが、「ミエリン」という構造です。ミエリンは、電気コードの覆いのように神経に巻きつき、電気信号が早く伝わる手助けをしています。背骨がゆがみ、神経が圧迫され、神経に酸素がいかなくなると、このミエリンが傷ついて溶け、電気信号が止まったり、外へもれ出てしまい、体が思うように動かなくなります。転倒や手足の痛み、しびれにも、実は背骨の問題が潜んでいるのです。

背骨のゆがみを防ぐ方法

背骨のゆがみを防ぐにはどうしたらいいのでしょう。背骨は全体が連動して動くので、一部でも痛めたり、周囲の筋肉が衰えるだけでゆがみを招きます。特に胸椎は普段動かし足りない方が多いので、積極的に動かしましょう。そして痛めやすい頸椎と腰椎は、苦手な動きを知り、日常生活で気を付けることです。溶けたミエリンも、背骨の周囲の筋肉を動かし、酸素や栄養を送ることで修復できると言われています。

まとめ

背骨は、生きるために大切な役割を驚くほど多く担っているのです。肩こりや腰痛などいろいろな不調も、背骨がゆがんだり、動きが悪くなることで起こります。背骨を整えるためには、骨盤・肩・脚など全身の歪みを整える必要があります。整体やトレーニングなどによる定期的なケアとセルフケアを行うことも大切ですが、片足重心やスマホ首、立ち姿勢など、日頃から姿勢を正す意識を持つと良いでしょう。