運動後「いつもよりもエネルギーを使ったはずなのに、食欲が少なくなっていたり、お菓子やパンなどを欲しない」と感じたことはありませんか?運動は食欲を抑えたり、正常化する働きがあります。その理由について説明します。

運動すると食欲は抑えられる

あるラットによる実験では「適度に運動させたグループよりも、まったく運動をしないグループの方がエネルギー摂取量が多く、体重も重い」という結果が出ています。運動をすると、むしろ食欲は抑えられるのです。食欲の中枢は脳の視床下部にある。脂肪細胞や消化器から分泌されるホルモンなどの情報が中枢に届けられることで、食欲が増減することが分かっています。

ホルモンによる作用

たとえば、脂肪細胞由来のレプチン、腸管由来のPYYやGLP-1というホルモンが視床下部の満腹中枢に働きかければ食欲は低下し、胃から分泌されるグレリンが摂食中枢に働きかければ食欲が増すというように、ホルモンによって食欲が決まります。ある実験では「運動前に比べて食欲増進ホルモンのグレリンが一時的に減り、PYYやGLP-1といった食欲抑制ホルモンが増えて、食事によるエネルギー摂取量が減った」という実験結果が出ています。

自律神経の働き

また、運動による自律神経の働きも食欲コントロールに関わっている可能性が高いです。自律神経のバランスが乱れているとイライラしやすくなったり、落ち込みやすくなるなど精神的なストレスを抱えやすくなります。運動することで、アドレナリンが分泌され、交感神経が優位になります。日中に交感神経を大きく働かせることで夜は自然と副交感神経が働くため自律神経のバランスが整いやすくなります。

また、交感神経の中枢は脳の視床下部、満腹中枢の近くにあります。脂肪細胞から分泌されたレプチンが満腹中枢を刺激すると同時に交感神経を活性化します。その両方の作用で食欲が低下すると考えられます。

消化しやすい食べ物を欲する

運動にエネルギーを消耗しているため、消化に負担をかけず栄養を補うことができる食べ物を自然と欲しやすくなります。走った直後は揚げ物や菓子パンよりもみずみずしい果物やスポーツドリンクなどを口にしたくなりませんか?小麦粉や加工品は消化に負担がかかる上、栄養になりにくいです。一方、フルーツなどの自然な食べ物や水・塩・糖が成分の飲み物は消化に負担をかけずエネルギーになります。運動をすることで、体の感覚が研ぎ澄まされ、より自然に近い形で、自分の体にとって必要な食べ物を欲するようになります。

まとめ

運動をすることで、食べる量や質などのコントロールがしやすくなります。カロリーの消費量だけに囚われず、運動を気軽に取り入れることで、ダイエットの良いサポーターとなってくれるでしょう。