フィットネスブームで今では様々なレッスンやサービスがあります。今回は「身体を変えるための運動」と「楽しむためのフィットネス」について考えていきます。

著者が感じるフィットネスの現状

ボディメイクや健康維持のために「トレーニングや運動が必要だ」と理解はしていても「きつい、つらい、面倒」といった心理的抵抗が、運動を習慣化できない大きな要因です。そういった心理的抵抗を和らげ、運動を継続してもらうためにジムやフィットネスクラブ、最近ではオンラインレッスンなど、様々な場所で「お客様を楽しませる」工夫がされています。

「楽しさ重視」のフィットネスの限界

一般的にグループレッスンなどで大勢に「楽しい」と感じてもらうためには以下のような配慮が必要です。

  • 簡単に真似できる動き
  • きつすぎないが「やった感」がある

「身体を動かすことを楽しみたい」「汗をかいたり、思い切り動くことでストレスを解消したい」という方にとっては、いい運動になるでしょう。しかし、「肩こり、腰痛など痛みや不快症状を改善したい」「お尻の位置を上げたい」「お腹痩せをしたい」という方は、身体を動かす前に「身体の使い方を変える」必要があります。身体を動かす機会が減った現代人は正しく身体を使うために必要な神経伝達を向上させるための練習が必要なのです。そのため、強度の低すぎる動きや簡単な動き、反対にただハードな動きも間違った身体の使い方をしやすいため、効果を得られません。

目的に対して効果的なことに時間を使う

神経伝達を向上させるには、今できる動きをただ繰り返すだけではなく、骨や筋肉の動きを意識を向けて感じたり、目で見て確認して行うことが大切です。一つのクラスは45~60分程度であることが多いでしょう。それだけあれば、自分自身に必要なストレッチ、コンディショニング、トレーニングを行うことができますが、筋力や運動習慣の異なる複数人の方に対して「楽しく」できるレッスンをする場合には、基本的な準備運動や有酸素運動として終わってしまうことが多いです。パーソナルトレーニングは、グループレッスンと比べると金額が割高になりますが、自分の身体が理想の状態になるために必要なことだけを行うため、時間や効率を考えると「より効果的である」と言えます。また、グループレッスンでも、目的別やレベル分けなどの工夫があるとより効果を得やすいでしょう。

できないからこそ「楽しさ」を見出す

テーマパークやテレビゲームのように、「消費者を楽しませるため」につくられたサービスは、私達が努力をせずとも、行く(購入する)だけで楽しい気分が得られます。一方で、スポーツや楽器の演奏などのように「練習をしてできるようになるからこそ、より面白い」ものも多くありますよね。私は身体を変えるためには後者のような「今出来ないからこそ楽しむ」という気持ちが大事だと考えています。

まとめ

基本的に、人は出来ないことや面倒なことに苦手意識が働き、避けようとします。そのため、サービス業としてのフィットネスは効果よりも、「今すぐに」楽しいと感じてもらえることを優先させている場合も多いように感じます。もちろん、嫌なことをやるのはストレスになり続かないので、楽しんでできる工夫は大切です。ですが、よりフィットネスが身近になったからこそ、時間や労力を有効に使うために、「自分自身に必要なことは何か?」を見極める力をつけていきましょう。