CHAPTER 01 マーケティングの主導権を取る基本設計

 

商品の価格とはどのようにして決まっているのだろう?

例えば、商品開発費に事業運営費を足して、販売期間で割る、、、、つまり実益ベースだ。そうやって、運用最低価格を導き出したとして、「これくらい原価がかかっているので、価格はこれくらいですよ」とアピールしても最終的にお客さまが買ってくれるかどうかは別の話。お客さまの関心の中心はあなたのビジネスの繁栄にあるわけじゃない。お客さまが大切にしているのは、自分と家族の家計であり幸せだ。だからどんなにあなたのビジネスを大切にしてくれていても、自分の家族の生命や幸せを超えることはない。当たり前だけど、自分のビジネスを一生懸命に思っている時ほどに、顧客にも同じくらいに大切にして欲しいと求めてしまうのもまた通常の心理。自分本位にならないように、お客さまには彼らの人生と家族があることを覚えておこう。

しかしながら価格が上がり続ける場合もある。それは商品がひとつに対して、お客さまがふたりいる場合。つまり、キャパシティー以上の買い手がいるとき。そうした場合、より高い金額を提示し、それでも売れる『高騰』という概念が生まれます。どんなに優れたサービスや原価の高い製品があっても、買い手がいなければ価格も付きません。つまり、価格の最終決定権は『需要と供給』のバランスにあるです。そしてマーケティングの主導権を取るということは、この需要と供給のバランスをあなたが舵取りすることに他ならない。

 

価格は需要と供給のバランスで決まる

 

需要(欲しい気持ち)について

例えば、筆者(白石)が1NIGHT添い寝権を3チケット売り出したとします。倫理的・ブランド的な添い寝プロジェクトの是非は一旦置いて。販売価格を100円にして売り切れれば、1000円で売り出す可能性が見えて来るけれど、そもそも売れなければ値付けをすることは出来ない。そして世界中を見渡しても、それが欲しい人もいれば欲しくない人もいる。買うかどうかはそれが欲しいと思う人のなかでの思考なのだ。

欲しい人のなかで考えること。ビジネスシーンでは、素直で素晴らしい買い手よりも口うるさく声の大きいクレーマーに、ビジネスが引っ張られているシーンをしばしば見かける。「悪く捉えられたくない」その恐怖は私たちにとって大きなものだけれど、大切なのは素直に価値を受けとってくれている素晴らしい顧客であり、あなたのビジネスに反映するべきなのは、そういったロイヤルカスタマーの声であることを忘れないようにしよう。あなたの仕事は世界中のすべての人に向けるものではなく、欲しいというごく少数の人にとって特別であれば良いのだ。

 

あなたの仕事は全員を喜ばせるものでなくていい
あなたの仕事を愛する一部の人に特別に接すること

 

供給(提供の仕方)について

ごく少数の人にとっての特別なサービスは、顧客にとって大きな価値を与える。広く相手にされた他社では満足できなくなり、あなたのサービスがどうしても必要になる。その特性を活かし、創業初期の段階では価格を欲張らず一般的な市場価格に合わせておくことで、お客さまにとってあなたのビジネスは特別な存在になることが容易に出来る。そうした人たちは他社に見向きもせず、あなたのビジネスのファンになり、その人数が1人、2人と増えてきたとき、いつしかあなたの商品を買えない人が出て来はじめる。多くの経営者はここで利益を逃すまいと更に提供する数を増やそうとするけれど、マイクロビジネスの場合、ここで価格を据え置くことが繁栄のポイントだ。次の2つの例を見てみよう。状況は同じでも見聞きした際の印象が違うのがわかる。

 

Aさん
『私のエスティックサービスは、5件満席になりました。』

Bさん
『私のエスティックサービスは、5件成約頂き、あと5件余っています。』

 

成約が同じ5件でも、満席の場合とまだ空席がある場合では、すごいと感じる感じ方(権威性)に違いがある。これを口頭で説明する場合はトーンやニュアンスも含まれ、AさんとBさんの違いは少なく感じるだろうが、SNSやWEB等で文章で言葉を見た(読んだ)際には、心理差はやはり大きい。

この心理効果が次の再販予約時に大きな効果を発揮する。あなたのサービスをこぞって予約し、買い逃がさないようにという心理が働くからだ。ですので、買い逃す人がいることを恐れないようにしよう。むしろそれで良いのだ。サービスを買えた人はその希少性により価値を感じる。サービスを買えなかった人は次の販売を心待ちにする。『常に売り切れていること』が次回の販売の手助けになり、あなたのブランドを演出し、一年を通した利益を向上させるのだ。

 

買えない人がいるくらいでちょうど良い

 

One Point!! 現実的な落とし所

①買い逃しがっかりした人には次回に期待してもらうようフォローする
②買ってくれた人には高い価値を与える
③なかにはその感動をシェアしてくれる人もいる
④それを見て更に、次回の購入を決意する

 

価格設定について

買えた人と買えなかった人との心理的なギャップをブランドとして演出するには、”サービスを受けた人が感動している”という状況が必須条件だ。そして感動とは、期待以上のサービスや配慮を受けた時に生まれ、その期待値は価格によっても変わる。1万円のエスティックサービスと10万円のエスティックサービスでは、より高価な方により高い期待をするのは自然なこと。

その価格心理を活用し、起業初期の人気や信頼を獲得したい時期や、人気を獲得するための商品・サービスでは、価格を控え目にすることも重ねて効果がある。感動の心理差の観点からも、価値と価格をあえて合わせずに一般市場価格を提示しておき、実際のサービスは圧倒的に手厚くケアをするということが活きてくる。ビジネスのスタートは信頼だ。噛み砕いて表現すると、利益よりも、感動に重きを置くことが口コミや評判を呼び、長期的な繁栄へと繋がる。長くビジネスを続けていたとしても『利益よりも感動の方が受け手の感覚として大きくあるべき』この構造は忘れないようにしよう。

 

最初は価格が少し抑えめでちょうと良い
感動を与えることに意識を注ぐ

 

買えない人がいるほど人気で凄い!という期待感を『認知バイアス』と言う。認知バイアスは、満席で売り切れであること、サービスを受けた人が感動していることが同時に在ってはじめて掛かる演出の魔法だ。一般的な集客が足し算であるならば、このマーケティングは掛け算のように効果はばつぐんだ。多くの経営者が、もっと多く、もっと売ろうとするなかで、あなたのマイクロビジネスでは、その反対に最高のサービスを提供できる数を徹底して決めておこう。大切だから重ねて付言するが、多くの経営者が最大席(キャパシティー)を決めようとしない。ぜひ、何席なら最高価値を提供できるのか決めることを習慣付けよう。

 

最高価値を提供すること
そのために最大席を決めておく

 

<この章のまとめ>

  • 価格は需要と供給のバランスで決まる
  • あなたの仕事は全員を喜ばせるものでなくていい。あなたの仕事を愛する一部の人を見つけること
  • 買えない人がいるくらいでちょうど良い
  • 最初は価格が少し抑えめでちょうと良い。感動を与えることに意識を注ぐ
  • 最高価値を提供すること。そのために最大席を決めておく