女性にウェイトトレーニングは必要なのか。男性的なイメージのあるウェイトトレーニングですが、実は行っていることはランニングやプール、エアロビクスエクササイズと構造的な意味では同じです。筋肉を収縮させてダメージを与え、食事と休息による超回復によって強くすることを意図しています。ランニングとウェイトトレーニングが同じというとイメージが付きにくいのですがどういったことなのか、そしてウェイトトレーニングにはどんなメリットがあるのかなど、これまで解説した内容も含め改めて触れていきましょう。

なぜウェイトトレーニングが必要なのか

冒頭でもお話した通りランニングなどの有酸素運動も、自宅での自重トレーニングも、そしてウェイトトレーニングも根本的な原理は同じです。ランニングは一般的に消費カロリーを意識して活用されるため、「より速く走れるようになろう」というイメージが薄いこともありますが、ランニングの速度がボディメイクに及ぼす影響は高いことを以前の記事でもお伝えしました。より早いランニングをイメージしたとき、フォームや連動性などの技術面の訓練を除けば、根本的に速さの土台となるのが地面を蹴る筋力です。つまりランニングをより早くするという意図は強く蹴る筋肉を鍛えるということでもあります。

地面を強く蹴るのに主に必要な筋肉はお尻と足の筋肉です。ランニングではこの筋肉に加えて全身の筋肉を連動させて使用します。そのために筋肉の活動とともに全身に酸素と栄養が供給されます。すると、実際に私たちが耐えられる負荷が全身で分けられてしまうために、お尻や足を鍛えようと意図したとき全身を使うことが効率が悪いのはイメージ出来るのではないでしょうか。具体的に言えば、二の腕(上腕三頭筋)を引き締めようとダンベルを持ち上げようとした際に、同時にジャンプをして疲れることはあまり意味がないと表現すれば分かりやすいかもしれません。そのため、ウェイトトレーニングでは対象箇所以外の筋肉を出来る限り休めた状態にして、一箇所ごとにトレーニングをすることによって狙った部位に対してより高いトレーニング効果を引き出すようにします。

自重トレーニングは、ランニング等の全身運動とウェイトトレーニングのちょうど中間にあります。例えばスクワットでは、全身を用いてはいますがランニングと比べると心臓は休めている状態にあります。レッグレイズでは上半身のほとんどは休んだ状態のまま行われます。このように対象部位を限りなく絞ってトレーニングをしようとすると、結果的に筋肉を縮める動きに対して重さによって負荷を掛ける、ウェイトトレーニングに行き着くというわけです。

それなら最初からウェイトトレーニングを教えてくれれば、もっと効率よく成長できたのではと考える人もいるでしょう。以前少しだけ触れましたが、ウェイトトレーニングは対象部位を限定してトレーニングするという特性上、一部分だけ発達することが出来てしまいます。例えば足のトレーニングをとっても、内転筋(股の付け根にある足の内側の筋肉)、前腿、後ろもも、ふくらはぎ、すね、足裏と細かく分けてトレーニングします。その際に、前腿と後腿の筋力差が大きくなると、骨盤が前傾したりまたは後傾したりして、その骨盤とバランスを取るために脊柱のアーチが変化して、全身の骨格バランスが悪くなり体調が悪くなってしまうこともあります。筋肉は全身バランス良くトレーニングすることで健康な肉体を保っているので、自分の身体の状態が今どのような状態であるか、日々のトレーニングが良い方向に働いているか等を常に感じながら調整することが大切です。

運動初期にはこの体感覚が掴みにくいために、本書ではストレッチや柔軟からはじまり、ゴムバンドでのトレーニングや自重トレーニングなど、軽負荷で全身を同時に使うトレーニングからはじめることを推奨しました。そうすることで、連動箇所が多い分全身のバランスが崩れにくく、神経が発達しやすいというメリットがあります。走るということには骨盤を正しい向きにする作用があるので全身の骨格バランスが整うほどです。学生の頃からずっと運動を続けている人には無用のプロセスではありましたが、そういう大人も少ないもの。長く続く人生のなかで最初の数ヶ月を焦る必要はなく、順を追ってウェイトトレーニングまで辿り着くことで誰しもが安全に美しく健康な身体を手に入れられることを意図して、ウェイトトレーニングを本項にて取り扱っています。

ここまでの説明から、ウェイトトレーニングはその他の運動をより効果を高めただけのものであり、全身を使ったトレーニングを経て行うべきということが見えて来ました。

美は高いレベルの健康である

ここから、本格的にボディメイクについて触れていきます。これまでも運動については紹介して来ましたが、自重トレーニングまでの目的は身体能力を取り戻すことに重きをおいています。先程説明したとおり、ボディメイクに特化するとウェイトトレーニングは効率が高いので、ウェイトトレーニングの目的はボディメイクではありますが、ボディメイクを行うためにはトレーニングだけでなく、食事や休息(睡眠)の質がより高い状態で取られていることが必要でもありましたね。つまり、ボディメイクを目指す過程で、食事、運動、睡眠と健康の3大要素を満たすことになり、美を目指せば健康も手に入っているということです。少し回りくどくはなりますが、トレーニングをしたあとに、筋肉が栄養と休息によって超回復することでより強くなります。栄養と休息が充分でなければ、すぐにオーバートレーニングとなりトレーニングをするほど筋力と健康度が落ちていきます。美は高いレベルの健康であることがここからも分かります。

メリハリボディになれる

ウェイトトレーニングのメリットを紹介します。まず一番にあがるのはメリハリボディを実現するということでしょう。一般的なメリハリボディをイメージすると、バストからのくびれたウェストラインをイメージすることが多いものですが、他にもふくらはぎからのキュッとした足首や高い位置から丸くなったお尻なども挙げられます。大きな部分としてウェストラインがあるとしても、より細部まで視線を馳せれば、二の腕ラインや、首から肩にかけてのライン、膝周りのスッキリ感など、全身すべてが美の対象になっています。これら部位ひとつひとつのボディラインやアーチをデザインしていくことで、メリハリボディは出来ています。

そしてその実現方法は、栄養価の高い食事、質の良い睡眠、適度な運動(トレーニング)です。まずは、骨格が整っていることが大切ではありますが、これは全身の筋力をバランス良く一定以上にトレーニングしていくことで自然と正しい骨格に辿り着きます。骨は筋肉に支えられているためです。ちょうど歯の矯正のように筋力バランスが整うことで時間を掛けて骨格は正しい位置に調整されていきます。骨格の話を少し端に置くと、私たちの身体は内蔵があり、その外側を筋肉、脂肪、肌が覆っています。つまり人間の肉質というのは筋肉と脂肪の2種類しかないので、ボディメイクは筋肉と脂肪をデザインしているとも取れます。

筋肉は収縮してダメージを追った部位は超回復することで大きくなります。そして頻繁に使われる(トレーニングする)部位は脂肪量が少なくなる特性があります。全身の脂肪の量である体脂肪率は、摂取カロリーと消費カロリーの収支で調整できます。これらを駆使して大きくしたい部位を大きくしたり、細くしたい部位を細くしたり、全身のやわらかさを調整することでボディメイクは成されていきます。実際にウェイトトレーニングを体験し効果を実感すれば、ここで言っている意味はすぐに理解出来ると思います。文字にすると少々ややこしい言い回しになっていますが、今はさらりと読んでおき、ウェイトトレーニングでメリハリボディが出来ると理解しておけばOKです。その際にはトレーニングはあくまで筋肉への刺激であり、身体が変化していくためにはその刺激を活かす栄養のある食事と超回復が可能な質の良い睡眠が必要なことも重ねてご理解下さい。

太りにくい体質になる

ウェイトトレーニングを行うことで血中のアミノ酸や対象部位の脂肪などをエネルギーにして筋肉が働き、作られていきます。すると全身の体脂肪量が減少し筋肉量が増えます。筋肉量が増えると日常生活での歩く、座る、ものを持つといった動作が軽く簡単に行うことが出来るようになります。それは、以前と同じ感覚で行ったとしてもより強い筋力の発揮が自然となされている状態にあり、結果的に筋肉量が増えることで基礎代謝と運動代謝のどちらも向上します。代謝カロリーの総量と一日の摂取カロリーの収支で、摂取カロリーが余ってしまうと私たちの身体はエネルギーを脂肪として蓄積する(太る)という仕組みなので、筋肉量が増えることで太りにくい体質になっていきます。トレーニングを開始して1年も経つと自然と総代謝が摂取カロリーを上回っていくので、太りやすくて悩むということは段々となくなっていきます。体重と体脂肪が適量になったあとであれば、食事量が追いつかず困ることもあるくらいです。

姿勢が良くなる

先述の通り筋力がついてくると、体重と重力に対して発揮筋力に余裕が生まれるために、自然と姿勢が良くなり正しい位置になります。姿勢を良くしようと一時的に姿勢を正すことを私たちは幼少期に教わりましたが、結局は腰や背中が疲れて脊柱が曲がってしまいます。座っていても立っていても常に背中の筋肉は日中休まることがないために、夜になるにつれてどんどん疲労して丸くなり、帰宅後のスマホでトドメを刺されるように背中のアーチが完成してしまいます。全身の筋力バランスが整うと重力に対して余裕が出来るために、正しい姿勢であることで最も楽であることに気が付きます。逆に身体を捻ったり、足を組んだりと骨格のバランスを崩す動きに対して居心地の悪さを感じ、自然と良い姿勢になろうとします。このようにトレーニングを継続することで良い姿勢は自然と手に入るのです。

肩こりやむくみを解消できる

トレーニングに慣れてくると肩こりやむくみが軽減していきます。肩こりの代表的な原因は、脊柱のアーチが丸くなり、つられて肩が内旋し、首が前に来てしまうことで肩や首への血流が滞ることで肩こりを引き起こしています。背中に充分な筋力が取り戻されると、姿勢が正しい位置に来るため血流が滞ることなく肩こりにならなくなっていきます。またむくみは全身の水分や血液が心臓に戻りにくいことから起きていることが多く、特にふくらはぎの筋力をはじめとして全身の筋力が高まることで、筋肉が血液や水分を配送するポンプの役割を果たしてむくまない体質になっていきます。

集中力が持続し自分に自信が持てる

トレーニングが習慣化すると日々の集中がより深くなります。これはトレーニングの際にテストステロンや成長ホルモンなどの各種ホルモンの分泌が活発に行われ、同時に代謝が高まることで全身に栄養が運ばれるためです。全身への酸素や栄養の供給能力が高まると、脳へのデリバリー能力も高まるため集中が深く長く続くようになります。トレーニング時の深い集中状態は、トレーニングをしていないときにも同じように没頭するちからが働くため、生活全体の質を高めてくれます。また各種ホルモンの影響もあり目標に対して前向きな気持ちを感じるようになります。自分の未来への期待が自信に大きく繋がっているため、自分に自信が持てるようになります。世の社長が身体を鍛えるのは、健康が最も資産価値が高いことは言うまでもありませんが、こういった集中や自信が目標の達成に貢献することを実感していることもありそうです。

まとめ

ウェイトトレーニングは効率の良いエクササイズ

ボディメイクの3大要素は食事、運動、睡眠

トレーニングでメリハリボディをデザインする

代謝があがることで太りにくい体質になる

姿勢が良くなり肩こりむくみが解消する

集中力がつくことで生活の質が向上する